2009年12月7日月曜日

能楽堂のいうことには

ようやく興奮もさめてきて、
少し平熱を取り戻したと思ったら、
あっという間に一週間が経ちました。

改めまして、
11月29日熱海の能楽堂へ
お運び下さいましたすべての皆様、
また、ご尽力をいただいた関係者の皆様、
厚く御礼申し上げます。

二年前、観客として参加したあの舞台に、
今年、出演者としてプロデューサーとして、
携わることになるとは、あの時は思ってもいませんでした。
過去二回の舞台をつくってこられた方々、
ご縁を繋いでくださった方々、すべてのことに感謝しています。
ありがとうございました。


これまで自分を表現する手段としていた
ジャズのステージからは、
 ーー呼吸変えたの?
 ーー英語の発音よくないよ
と言われながらも(苦笑)
和歌や叙情歌を歌うための“かたち”を模索する日々は、
これまでにない緊張と弛緩を与えてくれました。

美空ひばりさんの歌う日本語の
本当の美しさに、その発音に、
淡谷のり子さんの歌う「宵待草」の
あまりの美しさに、その響きに、
奮えるほどの感動を覚えた、遠い昔から、
今、この舞台を経て、ほんの少しだけ、
その秘密を見た気がしています。

経験してよかったな。
ジャズ音痴になったとしても!(笑)

子どもの頃、祖母は私を
「かーなーこーや」と呼びました。
私は同じ音を読むことはできるけれど、
同じ音を発することはとても出来ません。
おそらく、ほんの少し前の時代までは、
今我々が話している話し言葉でさえ、
違った音だったことでしょう。

どちらを向いても山ばかりで、
山を歩くことさえ信仰の対象であったこの国の、
農耕民族であり、床に座す民族の、
独特の呼吸がもたらす発音を、
もしかすると、近年なくしたのかもしれません。

しかし、「かた・かたち」に凝縮された、
この国のDNAは、何かの拍子にふわっと舞い出て、
我々に安定した情緒をもたらすかもしれません。

と、能楽堂は言っていました。
とさ。

あの日、舞台と客席の皆さんが共有したわずかな時間が、
それぞれのこれからに、小さな何かを残し、
また、芽が開く頃、もし再びお会い出来ることがあれば、
とても幸せに思います。
ありがとうございました。


追加情報:
淡谷のり子さんの宵待草は、
「夢二」(鈴木清順監督)という映画の
エンドロールにて聴くことが出来ます。ご参考まで。